★ショートストーリー.社内裁判vol2★

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★★★★★★★★★★★★★★★

副部長「みさなまにお伺いしたい。彼らが不倫をしたことで皆様に実害があったでしょうか?

 

『人間的信用がない。今日も裁判のために時間を取られて業務が進まない』

確かに、仰る通りでしょう。

 

でもちょっと考えてみてください。

不倫をする人だから契約不履行をする、というように不貞行為が仕事上の信用にイコールで繋がるでしょうか?

 

必ずしもそうとは限りません。それは先人たちが証明してくれていますね。偉大な経営者たちには往々にして愛人がいたものです。

 

それでは今日こうして裁判に時間を取られていることについてはどうでしょう?

 

これは不倫をした本人たちのせいではありませんね、不倫を許容しない現代社会が事態をややこしくしているのです。

 

さあどうでしょう、2人の不倫がみなさんにどれだけの迷惑をかけたというのでしょうか?

 

『迷惑どうのこうのではなく、倫理に反することがよくない』

ふむ。

 

例えば通勤定期券を申請しておきながら車通勤する従業員。

例えば後輩の身体的特徴を笑う先輩社員。

例えば責任を部下になすりつける上司。

 

どれも倫理的にはよろしくない内容ばかりですねぇ?

 

不倫と比べるとささないなことですか?そうでしょうか、それはみなさんの勝手な思い込みでしょう。

『倫理』は水物です。

みなさんは流行の『倫理』に踊らされているだけです。

 

それでは法律に照らし合わせてみましょう。ご存知の通り不貞行為は違法ではありません。

それを私たちが独自の尺度で罰すると言うのですか?私刑と同じですよ。

皮肉なことに昨今では私刑も倫理的によろしくないとされていますね。はは!

 

ちなみに当社の規定でも不倫にペナルティを与えるべしという記述はありません。

 

ここまで詳細にご説明申し上げれば、彼らが左遷などどいう私刑を受ける必要がないこと、裁判長にもご理解いただけたのではないかと思います。

 

私からは以上です」

 

プレゼンに定評がある副部長の弁論は聴衆を引き込んだようです。

誰からも異議の声は挙がりません。

 

先輩「それでは被告尋問に移ります。栄子殿、前の席へ」

 

俯いたまま、栄子さんが席を移りました。

 

先輩「弁護人、被告尋問はしますか?」

 

副部長「はい、被告尋問を行います。

 

栄子殿、なぎささんが弁論で述べた通り、課長殿との不貞行為を認めますか?」

 

栄子さん「はい、認めます」

 

副部長「悪いことをしているいう認識はありましたか?」

 

栄子さん「わたしは…わたしは…」

 

副部長「では質問の仕方を変えましょう。

不倫関係の間、仕事に支障はありましたか?」

 

栄子さん「それは…ありませんでした」

 

副部長「つまり職場にはなんの迷惑もかけていないということですね」

 

栄子さん「それは…ええと…ええと…」

 

副部長「以上、私の被告尋問を終わります」

 

栄子さん「あ…あぁ…」

 

栄子さんはまた俯いてしまいました。

 

先輩「検事、反対尋問は行いますか?」

 

なぎ「はい、行います。

 

栄子さん、正直な気持ちをお聞かせください」

 

TO BE CONTINUED…

 

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