★ショートストーリー.チェリーボーイの寿命vol1★

こんばんは。

忘年会シーズン真っ盛りの12月末、皆さまいかがお過ごしだろうか。

 

セクハラ取締りがいくら厳しくなろうとも、飲み会で盛り上がる話題の1つが下ネタである。

だがそんな下ネタトークに馴染めない稀有な存在がいることをご存知だろうか。

 

10代、20代の頃はかつて誰もがそうだった。しかしアラウンドサーティーへ突入した社会人集団にとって、その存在は「幻」「古代生物」「天然記念物」と揶揄される。本人たちもそれを自覚しており滅多に本性を表そうとしない。

つまり、現代社会の尊い妖精、いわゆる「童貞」である。

 

全ての会社員にとってそうであるように、童貞にも等しく月曜日はやってくる。それが例え二日酔いの週明けであっても。

熱燗とともに流し込んだ「アラサー童貞」というコンプレックスが鉛のように胃に沈む。

 

それでも彼は立ち止まっていられない。突き進むしかないのだ。いつか夢見る「初体験」のその日まで。

だから今日もとびっきりのスマイルで、ブルーマンデーに沈むオフィスへ爽やかな風を吹かせる。

そうすればきっとあの子も彼の魅力に振り向いてくれるはず。

 

童貞「おはよーございまーす!」

なぎさ「おっはよー!」

 

打ち返すように元気な挨拶をしたのは同期のなぎさだ。シルバーグレイのヘアスタイルは近頃生え際が黒くなってきたが、なぎさに掛かれば流行りのヘアカラーに見える。

なぎさに続いて次々と朝の挨拶が投げ返される。女性従業員全員に挨拶を貰えたことに密かに満足しつつ、童貞は自分のデスクに座った。

 

隣席の非童貞「よぅ、今日も爽やかイケメンだな」

イケメン(童貞)「はは!よせよイケメンなんて(本当にイケメンだったら今頃童貞なわけないだろ)」

非童貞「そんなお前のことだからクリスマスのご予定も埋まってるんでしょうねぇ?」

童貞「あー、もうそんな季節か(独り身に慣れすぎてもはやカップルイベントになんの感慨も湧かない…)」

非童貞「俺ら独り身組は派手に遊ぼうって言ってるけどお前もくる?」

童貞「派手に遊ぶってなんだよ、おもしろそうじゃん」

非童貞「極上泡ランドに行ってから高級焼肉店行くぜ」

童貞「んー、予定入るかもしんないな からパスするわ」

非童貞「何だよやっぱり女いるのかよ!」

 

もちろん彼女も予定もないが、初体験は好きな人としたい。そんなピュアな童貞思想が己の性欲を凌駕するのであった。

 

TO BE CONTINUED…

 

 

雨宿りボーイ