★ゆとりと団塊の365日 5月★

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前回の話

★★★★★★★★★★★★★★★

ゆとり「団塊さん、恐れ入りますがこのプロジェクトのリーダーは僕です」

団塊「あぁ、そうかい。

ならリーダーさんよ、意見させてもらうがお前の企画案じゃこれはクソみたいな社史になる」

二人は社史編成の打ち合わせをしていた。今年周年を迎える『なぎさ株式会社』では社史を発行するのだ。

 

ゆとり「今までの社史内容を踏襲した内容です。

これをクソというなら今までの社史をクソと言うのと同じですよ」

団塊「あぁ、そうだよクソだよ。

何より『今までと同じだったら大丈夫』というお前の考えが腐っとる」

ゆとり「『なんでもいいから新しいこと』という団塊さんの考えも、ただ事態を混乱させるだけだと思いますが」

これだから目立ちたがり屋の団塊世代は困る、と内心ゆとりはため息をつく。

 

団塊「けっ!前回の社史にこの10年間の出来事を加えるだけの何が面白いんだか」

ゆとり「社員にとってはこの10年間を振り返ることになります。

大事なのは出来上がった社史じゃなくて作る過程なんです」

団塊「振り返るっつったって社史編成に携わるのはほんの一部の人間じゃねぇか」

ゆとり「いいえ、社内webで写真を公募したり『記憶に残っているイベントランキング』をしますから、全社員が社史作成には参加できるようになっています」

団塊「そんな一方通行の募集、他の部署の人間が見てると思うか?

営業なんざ思い出振り返る暇があったら数字上げろの世界だ。

俺だって社史のサイトがあったなんて知らなかったよ」

ゆとり「営業部隊には是非団塊さんからアナウンスいただければと思いますが」

団塊「だーかーら!営業はそんなことしてる暇ないっつーの!

俺がアナウンスしようがしまいが関係ねぇよ、あいつら見ねぇよ。

問題があったら『周知します』で解決しようとするからお前ら総務畑は結果を出せねぇんだよ」

 

営業部隊に社史編成の協力を仰いでも風当たりが強いものになるであろうことはゆとりも分かっている。

だからこそ団塊が必要なのではないか。

ゆとりには、営業部隊へのアナウンスをしたくない団塊が駄々をこねているようにしか見えなかった。

 

ゆとり「じゃあ、団塊さんが言う『結果を出す』は社史編成では何に当たるんですか?」

団塊「『意思』の継承だ。先人たちの思いや苦労を次の世代へ引き継いでいく。

それにはただ事実を羅列するだけの社史じゃだめだ。

全編内容の見直しだ」

 

面倒くさい。ただただ、面倒くさい。

ゆとりはそう思った。

「去りゆく自分の過去の栄光を残したい」そんな独りよがりの欲が見え透いていた。

 

団塊「会社のターニングポイントとなった出来事、製品と関係があった人たちにインタビューをして行こう。

最終的には社長も含めた役員陣にも話を聞きに行く」

 

ゆとり「そんなこと社長が了承するとでも?

(たかが社史に社長を巻き込むつもりか。頼むから大袈裟にしないでくれ)」

 

団塊「打診してみてだめなら諦めればいい」

簡単そうに言う団塊を前にゆとりは頭を抱えたくなった。

 

TO BE CONTINUED…

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