前回までの話はこちら
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社史のためのインタビューも残すところ2本。
インタビュー録音を聴きながら文字に起こす作業をしていたゆとりは溜息をつく。
誰もいないオフィスでは躊躇なく盛大な溜息を出せる。
いつのまにか定時は過ぎ、残っているのもゆとり1人になっていた。
と思ったら、もう1人いた。
マドンナ「おつかれさま、ゆとりくん」
軽やかな声とともにコーヒーが差し出される。
目を上げれば疲れも吹き飛ぶ…
否、今のゆとりはマドンナの笑顔ですら癒しを感じなくなっていた。
マドンナ「頑張ってるね。最近のゆとりくん、変わってきたと思う。インタビューの時、気を遣っているの分かるもの」
ゆとり「何も喋らず座ってることが気を遣っていることになりますか…?」
先月マドンナに言われたことが心に引っかかり、ゆとりは自信を失っていた。
マドンナ「リーダーだからってインタビューを仕切る必要はないわ。そこはOBと面識がある団塊さんに任せればいいのよ。適材適所に人を使ってこそリーダーだわ」
ゆとり「人を、使う…」
マドンナ「そ!団塊さんを巧く使うのよ」
マドンナ「誰だって上手くいかない時はあるわ。それをどう乗り越えるかが大事だと思うの」
マドンナ「あんまり凹まないでよ、乗り越えると見込んで言ったんだから。君は見所のある男だよ。
ねぇ気付いてた?『ゆとりさん』呼びから『くん』呼びに変えてること」
小悪魔的な笑みにウインクを上乗せてマドンナは帰って行った。
ゆとり「マ、マドンナさん…!」
俄然やる気が湧く、単純なゆとりであった。
TO BE CONTINUED…
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