★ゆとりと団塊の365日 3月 Final★

ゆとり団塊

前回までの話 

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部長「厳密には4月の退職ですが、有給消化のため団塊さんは本日が最終出勤です」

とあるいつもの営業日、夕方ミーティングでのことである。

 

団塊「短い間でしたが総務部の皆さんにはお世話になりました。

営業畑しか知らなかった私を温かく受け入れてくれてありがとう」

 

部員からの花束と色紙が贈られ、ミーティングはお開きとなった。

 

マドンナ「団塊さん!」

デスクを片づけている団塊にマドンナが声を掛ける。

 

マドンナ「これ、受け取って下さい。団塊さんには個人的にとてもお世話になったから」

団塊「お!嬉しいねぇ、マドンナちゃん。俺が好きな銘柄覚えててくれてたのかい?」

ほくほく顔でプレゼントの日本酒を受け取る。

マドンナ「また今度、飲みに行きましょうね」

団塊「その時は彼氏も一緒かい?」

マドンナ「やっぱりご存知だったのね」

 

ゆとり「ちょっと!知らない振りしてくれる約束だったじゃないですか!」

横からゆとりが口を挟む。

団塊「いいんだよ、俺はもう社内の人間じゃなくなるんだから」

マドンナ「これで気兼ねなく3人で飲みに行けますね!」

団塊「俺としてはマドンナちゃんと二人がいいけどなぁ」

マドンナ「ま、団塊さんたら★」

 

ゆとり「あの、これ…」

団塊「お前も何かくれるのか」

ゆとり「おちょこです。日本酒、これで飲んで下さい」

団塊「ありがとうよ」

 

ゆとり「あと、あの…」

団塊「まだ何かあんのかい」

 

ゆとり「ありがとうございました!!!」

 

突然の大声にオフィスにいた全員が振り向く。

 

ゆとり「個人的に、それから、会社の代表として、お礼の言葉を伝えました。今僕らが安心してこの会社で働けるのは団塊さんたちのお陰です」

ゆとりは深々と頭を下げる。

少し離れたところにいる部長も頭を下げるのが、視界の隅に見えた。

 

頭をあげるとにやりと笑う団塊がいた。

団塊「いっちょ前のこと言うようになったのぅ」

フルスイングでゆとりの背中を叩く。

ゆとり「いってぇ!」

団塊「この会社、頼んだでぇ」

 

何十年と勤めた会社を去る団塊の荷物は驚くほど少なかった。

手提げ鞄がひとつ。

 

出口まで行き、ゆとりたちを振り返るとひょいと片手をあげた。

 

団塊「ほんじゃぁな!」

 

★終わり★

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