上橋菜穂子『鹿の王』-交錯する故郷への想いと策略

こんにちは、なぎさです。

今回は上橋菜穂子さんの著作、『鹿の王』をご紹介させてください。

2015年の本屋大賞受賞作です!

あらすじ

この物語は2人の男を中心としてストーリーが展開されていく。
一人は、飛鹿(ピユイカ)と呼ばれる鹿を操り、故郷を守るために戦った独角(どっかく)という集団の頭だった、ヴァン。しかし戦いに敗れ、地下のアカファ岩塩鉱で働かされていた。

ある晩、謎の獣が岩塩鉱を襲撃、獣は人々を次々と噛んでいった。その後、岩塩鉱で謎の病が流行しヴァンだけが生き残った。ヴァンは地上で侵入した家の竃の中からもう一人の生き残った幼児(女の子)を見つけ、ユナと名づけて一緒に生きることになる。
そして、もう一人の主人公は東乎瑠(ツオル)帝国の医術師ホッサル。ホッサルは病の原因究明のため岩塩鉱に行く。そこで脱走防止の足枷がひとつ外れているのが見つかりヴァンの脱走が発覚。同時に噛まれても病にかからない人もいる事がわかった。この一件でホッサルの従者であるマコウカンは生き延びたヴァンを捜索することになる。また、この病がかつてオタワル王国を滅ぼした黒狼熱(ミツツアル)ではないかとホッサルは疑いはじめる。

時は過ぎ、何者かにユナを連れ去られその跡を追うヴァン。その先には〈火馬の民〉の族長のオーファンが待っていた。彼もまたヴァンと同じく故郷を追われた身であり、もう一度故郷を取り戻すためにとヴァンに協力を求める。
同じ頃、ホッサルの一行は王幡領の山地氏族に捕らえられていた。山地氏族は自分達には無害と思われていた黒狼熱が有害だと知り、ホッサルに特効薬の製作を依頼するために連れ去ったのであった。
探していたユナは山地氏族の元にいたため、ユナを通じてホッサルとヴァンは出会う。
黒狼熱をめぐる陰謀、故郷を取り戻すために暴走しだした〈火馬の民〉、帝国に支配される前の国同士の関係性がヴァンやホッサルたちに絡みつく。

Wikipediaより

新編「水底の橋」が2019年3月に刊行

同シリーズ、「水底の橋」が刊行されました。ホッサルたちのその後が物語の舞台です。続編ではなく、ヴァンやユナたちは出てきません。

こんにちは、なぎさです。 今回は上橋菜穂子さん著作『鹿の王 水底の橋』をご紹介させてください。 『鹿の王』その後の東乎瑠(ツオ...

自然に囲まれた異世界ファンタジー

上橋菜穂子さんの著作はいつもながら大自然を感じるファンタジーです!

守り人シリーズしかり、獣の奏者しかり。

今回も草の匂いや焚火の暖かさを感じる異世界ファンタジーをお楽しみいただけます。

今回は鹿と犬がキーワードです。

『飛鹿』というのは鹿の一種です。恐らく想像の動物と思われます。

将棋からヒントを得たのかな?

それとも世界のどこかには鹿の一種をこう呼ぶ地域があるのかしら?

飛鹿(ひろく)は、将棋の駒の種類の一つ。本将棋にはなく、中将棋・大将棋・天竺大将棋・大局将棋に存在する。

Wikipediaより

支配者と植民地

この物語の大事な要素の一つは、物語の舞台「東乎瑠(ツオル)帝国」の成り立ちです。支配された民族がかつての故郷を取り戻そうとする話でもあるのです。

支配者=東乎瑠(ツオル)帝国

東乎瑠(ツオル)帝国は武力で周辺国を制圧して国土を広げてきました。武力行使が悲しみや憎しみを生み、策謀陰謀に繋がり、新しい悲劇を起こしてしまう。

黒狼熱を使った非劇を起こしたのは、誰なんやろうね?ふふふ

主人公のホッサルも、肩書は「東乎瑠(ツオル)帝国の医術師」だけど東乎瑠人ではありません。オタワル人という国を持たない民族なんです。オタワル人は医術に秀でているため東乎瑠(ツオル)帝国でも重宝されています。

ホッサル祖父、医術師リムエッル

登場は多くないものの、物語のキーパーソンであるホッサルの祖父、リムエッル。彼ももちろんオタワル人です。

これがなかなか癖のあるキャラでしてね。ふふふ

すごく腕のいい医術師であるとともに、めちゃめちゃ策士なんですよ。

ホッサルが「何族だろうと助けられる命は助ける」という生粋の医術師であるのに対し、リムエッルはあくまでオタワル人の医術師。

オタワル人が東乎瑠(ツオル)帝国の中で生き延びられるように策謀を巡らせます。そのためなら消えていく命を見捨てることも厭いません。大きな目的のために小さい犠牲は致し方ないと考えているのです。

それぞれが自分の大事なもののために

そんなリムエッルのことを利己的で嫌なヤツだと思いますか?まあ、上記の説明だけだとそう思っちゃうかも、ごめん。笑

本作を読んでみれば利己的な理由からリムエッルが冷徹な策士になったわけではないことが分かって頂けると思います。

今の世界情勢にも通じるもんがあるでな、どうやったら平和に誰も死なずに解決できるんやろうね。

気になったら是非読んでみてね。ほんじゃね!

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