『平場の月』朝倉かすみ|50代がのた打ち回る一冊

こんにちは、なぎさです。

本日は朝倉かすみさん著作、『平場の月』をご紹介します。

2019年に第32回山本周五郎賞を受賞、さらに2019年上半期直木賞候補になった作品です。

動画でサクッと紹介

動画で『平場の月』をご紹介しています。3分44秒の動画です。

50代が悶える物語『平場の月』朝倉かすみ著作

あらすじ

都心から少し離れた町。50代になっても中学・高校の同級生と頻繁に町中で顔を合わせる、そんな町。

中学時代の同級生、青砥と須藤も50代にして地元で再会する。

病院へ検査を受けに来た青砥と、院内でパートをしている須藤。

中学時代に告白した青砥と、それを振った須藤。

数十年の時とめまぐるしい人生経験を経て、逢瀬を重ねる二人。

「ありそうな日常」を本人たちの目線から、生々しく描く。

悶えながら読んでください

「50代ならこういう人生もあるよね」そんな、珍しくはないでろう日常を描いた小説です。

なのに、なんなのこの胸に迫るものは。感情が暴れて仕方ありません。

30代の私がこの小説を語るには圧倒的に経験値が足りない。50年間生きた先輩方が読んで初めてこの物語の全貌が見えるのではないでしょうか。

とは言え私が読んでこれだけ切なく苦しくなる小説です、当事者の50代が読めばその胸に抱くものや想像に絶する。

という訳で人生先輩の皆さま方、悶えながら、のた打ち回りながら(もちろん心中の話です)、読んでください。

『おらおらでひとりいぐも』との比較

本書を読んで思い出したのが、2017年下半期の芥川賞を受賞した『おらおらでひとりいぐも』です。

若竹千佐子著作、「おらおらでひとりいぐも」を紹介。現代社会の老後で直面する「孤独」を考えさせられる作品。

日常を描いている、人生の終着を考える、という物語であることが『おらおらでひとりいぐも』を連想させたんだと思います。

もっとも、『おらおらでひとりいぐも』の方が「人生の終着」にフォーカスした作品でした。

『平場の月』はまだまだ地続きの人間関係があって、感情があって、当たり前のように明日を考えています。今までの五十数年間を振り返って、明日からの人生を見つめる、みたいな。

まあ、主人公の年代が違いますからね。終着の考えもそら変わってきますよね。

50代、終着を考えることはあれど、まだまだ人生という舞台を降りることは許されない。許されないならどう生きていく?

いずれの作品も、「日常」をテーマにしているからこそ、非常に生々しいです。

「日常」を物語にする

日常を物語にする、そしてその物語で人の心を揺さぶる。これってすごいことだと思いませんか?

平坦でつまらないと思っていた生活が、読後、色付いたように感じます。

毎日が退屈で嫌々で仕方なくなった時こそ、こういう「日常」を描いた小説を読むべきなんじゃないかな。

ということで、50代を経験した人におすすめの一冊です。

まだ50代に到達していなくても、胸に迫る物語やけどね。

平場の月 [ 朝倉かすみ ]

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ほんなら読んでくれてありがとう!ほんじゃあね!

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